WISE・WISE tools

作り手をたずねて

注染作家 breezyblue

breezyblue竹澤さん×日本の伝統染色技法。

アトリエに一歩踏み入れると、立派な味のある箪笥や映画でしかみたことのないような黒の足踏みミシンが目に飛び込みました。
どちらのものか伺うと、鹿児島のおばあちゃんの箪笥です。そちらも京都の実家からもらってきたミシンです。小さな頃は古いものに全然興味がなかったそうですが、愛着をもって修理をし、大事に使われてきた様子が伝わってくるものに囲まれた空間でした。

浴衣布を趣味で集めていたのが高じて、自らの柄を染めてオリジナル生地を制作。
その際、注染(ちゅうせん)の技法に出会い古いものにも興味が湧いてきたとの事。
日本のいいものや修理して大事に扱うご家族と生活する中で育った竹澤さん、現在はアパレルデザイナーのキャリアを活かし、私たち現代人に使いやすいようにデザインし日本の伝統技法を伝えていらっしゃいます。

手に取りやすいデザインでありながら、日本の染色技法を用い、手仕事の良さがしっかり伝わる商品は永く手元におきたいアイテムばかりです。
お客様に永く使ってもらいたいので、修理やメンテナンス方法も丁寧に教えてくれました。丁寧に取扱い、一部が壊れても修理をすればずっと使い続けられます。 傘の職人さんは東京にいらっしゃるので、すぐ対応いただけるとの事です。
ご購入の際も安心して購入することができますね。

breezyblue(ブリージーブルー) 竹澤桂子さん(たけさわ けいこ)

アパレルブランドの企業デザイナーの傍ら、趣味の注染の浴衣地収集から染色に興味を持ちオリジナル柄のデザインを始める。
注染はじめ日本の手染色を用いた反物から日傘はじめ自らのコレクションを発表するに至る。特に世界観をあらわす色と柄の組み合わせに注力する為、イメージ通りに図案が出来上がったときの喜びはひとしお、とのこと

(プロフィール写真では一番お気に入りの梅柄の日傘を持っていただきました。)
http://www.breezyblue.com/

古いJUKIの足踏みミシンはアンティークなデザインと使い易さに愛着があり、メンテナンスしながらこれからも長く使っていくそうです。
鹿児島の祖母から受け継いだ桐のタンスは引き出し一つ一つに持ち主だった祖母の名前が入っています。部品や商品のストックに使っています。

日本の伝統工芸(伝統技法)の現在

WISE・WISE toolsでお取扱いがあるのある伝統工芸に関係する作家・工房、メーカーからも後継者不足で苦労されてる話はよくお聞きします。
breezyblue竹澤さんからも「後継者不足で5年後にはこのまま続けられるのか心配です。」
実際はだ継ぐ若い世代が少ない・いないというよりも、「技術をもった職人さんが今後の情勢を不安定と感じて継がせる事が不安でできない」という話を聞くのだそう。
染色技術にしても、傘づくりにしても日本の素晴らしいものづくりが消えてしまうのではと危機感を持ちます。
竹澤さん始め、我々ワイス・ワイスも状況を知り、素晴らしさを伝え、作り手さんも遺していけるようなお手伝いできる事を考え、発信を続けていきます。

breezyblue×WISE・WISE tools×徳田吉美氏。

竹澤さんは8年程前WISE・WISE tools店で陶芸家徳田吉美氏の陶器のボタンを購入。竹澤さんが徳田さんに連絡を取り、それがきっかけで交流が始まり日傘の留具に徳田さんボタンが採用、コラボレーションした商品もあります。
私たちの知らないところで、作家さん同士が繋がる嬉しいエピソードでした。

※徳田吉美(とくだよしみ)WISE・WISE tools店オープン時から常時取り扱いさせていただいてる作家。
写真はアトリエで頂いた紅茶が入った徳田氏の漆蒔きカップ。
長年使うことで貫入に色が入り銀彩の部分も味わい深く変化が楽しめます。竹澤さんのお気に入り。

日本の伝統技法に挑戦を続けるbreezyblueの商品

注染から始まったbreezyblueさんの日本の伝統技法への挑戦。
注染を活かした日傘や扇子にはじまり、ガーゼハンカチまで。注染だけではなく、天然染料の板締め絞りの色合いも魅力的です。こちらも雨傘から扇子、ガーゼハンカチとバリエーション豊かに取り揃えております。
又、今年は驚きの軽さ(紙袋の軽さをイメージ)の伝統工芸品、正絹の組紐を採用した牛革のバッグも必見です!

裏からも美しい色柄が楽しめる浴衣布日傘。撥水加工、UVカット加工済。

驚きの軽さと柔らかさ。天然染料の優しい色合いが魅力の大判ストール。

伝統染色技法のガーゼ生地と今治タオルがコラボした柔らかな肌触りの綿100%ハンカチ。

今年は薄くて軽く柔らかな牛革で出来た組紐バッグも入荷。表裏違う組み方が美しい正絹の組紐。裏地には注染の傘を作った際できる端材を使用。どんな柄に出会えるかお楽しみ。

注染の日傘ができるまで

breezyblue竹澤さんに日傘が出来るまでの工程を見せていただきました。

型紙作成

01 型紙作成
竹澤さんが下絵を描きます。


型彫り

02 型彫り
柿渋を塗った伊勢和紙に職人が下絵を写し型彫ります。


型の完成

03 型の完成
型に紗を張って完成します。


糊おき

04 糊おき
伊勢和紙の型を生地の上に置き、上から防染糊を塗っていきます。  何枚も重なった反物を一枚づつ順番に糊置きする根気のいる作業です。糊をおいたところが染まらない部分です。


染色

05 染色
やかんに染料を入れ、防染のりをおいた生地の上から染料を注ぎます。一度に一反分染めるので足踏みで圧をかけながら大量に染料を注いでいきます。


水洗い

06 水洗い
染め上がった反物を水洗いして防染糊をおとしていきます。 洗い上がったらプレス機にかけて整えます。


自然乾燥

07 自然乾燥
反物を一反づつ屋外のさおにかけて自然乾燥させます。約7mの高さがあります。 美しく染め上がった反物が風にはためく様子は注染ならではの風物詩です。 (breezyblueのブランド名はここからイメージされたそうです。)


裁断・縫製

08 裁断・縫製
傘の大きさに合わせて裁断、ミシンを使って縫製を行う。


傘の組み立てて完成!

09 傘の組み立てて完成!
傘の骨への張り込みをして完成!

板締め絞りの工程

breezyblue竹澤さんに板締め絞りの工程を見せていただきました。

生地のたたみ

01 生地のたたみ
反物を端から大きさをそろえて奇麗に折り畳んでいきます。


板ではさむ

02 板ではさむ
板の形状はさまざまで板の形によって柄が決まります。両端から万力で力をかけてはさみます。挟んだところが白く残ります。


染め

03 染め
染料に浸して染めていきます。ぼかしや色の入り方を調整していきます。breezyblueでは土や植物の天然染料を使用しております。


板を外して乾燥させる

04 板を外して乾燥させる
紋様が印刷された和紙を、
治具と接着剤を使って手で
成形していきます。


プレス

05 プレス
乾燥させてプレス整理をします。


完成

06 完成
天然染料で染め上げた板締め絞りの雨傘。雨の日が待ち遠しくなります。

breezyblue竹澤さんのアトリエを訪ねて
竹澤さんのアトリエでお話や手仕事も拝見すると、一つの商品を作り上げるまでの思いや工程の多さには驚くばかりでした。商品ひとつひとつが一点ものとおっしゃる意味がよくわかります。
日本の伝統技法をそのまま受け継ぐのではなく、新しい挑戦を続けていくことが伝統を遺すということに繋がるのだと感じました。
店頭にお越しの際は、こだわりの細部まで是非ご覧になってください。
WISE・WISE tools 上田

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